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神経病理学(しんけいびょうりがく、英: Neuropathology)とは神経学の分野における病理学である。具体的には中枢神経系(つまり脳や脊髄)、末梢神経、筋肉などの材料を顕微鏡で観察し、病理診断や病気の原因や発生機序を研究する学問である。 中枢神経の細胞は神経細胞、グリア細胞、支持組織からなる。グリア細胞はアストロサイト、オリゴデンドログリア、上衣細胞、ミクログリア、マクロファージなどが知られる。アストロサイト、オリゴデンドログリア、上衣細胞をマクログリアという。支持組織には血管、軟膜、くも膜、脈絡叢、くも膜顆粒などが含まれる。神経病理学においては神経細胞の変化は超急性期を除けばグリア細胞の反応を伴うものであり、逆にグリア細胞の反応がなければ人工的な変化の可能性が疑われるため各種細胞の同定は非常に重要と考えられている。 神経細胞は細胞体、軸索、樹状突起から構成される。細胞体には核、ゴルジ装置、リソソーム、ミトコンドリア、リボソーム、小胞体、リポフスチン、神経細糸、微小管、神経メラニンなどが認められる。軸索や樹状突起ではこのうちミトコンドリアや神経細糸、微小管が主に認められる。光学顕微鏡で確認できるのは核、粗面小胞体の集合物、リポフスチン、束状の神経細糸、神経メラニンなどである。 神経細胞の脱落では周囲組織の組織変化を伴うことが多い。神経細胞内物質の外部への流出(メラニン色素の遊出など)、細胞外のレヴィ小体やアルツハイマー神経原繊維変化などが知られている。細胞死に続発する変性神経細胞の処置像として、マクロファージによる神経貪食像や髄鞘破壊産物を貪食する脂肪顆粒細胞が観察される。またアストロサイトが反応しグリオーシスが形成される。 虎斑状に見えるニッスル小体(粗面小胞体)が崩壊する状態をクロマトライシスまたは虎斑融解という核周囲の細胞質の中心部が腫大し崩壊したニッスル小体が周辺に押しやられる状態を中心性虎斑融解という。これは軸索障害による逆行性変性の結果である。 風船状腫脹(ballooning)はペラグラ、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺などで記載される。風船状腫脹をした細胞がニッスル小体を失っている場合があり、その状態をアクロマジアという。 代謝性疾患では異常代謝産物が細胞体に蓄積されることにより腫大性変化をきたす。 変性疾患では、異常蛋白などの蓄積により細胞体が腫大することがある。アルツハイマー病の神経原線維変化やレヴィ小体などが細胞体内に形成されれば全体像が腫大することがある。ballooned neuronと表現されることもある。 限局性皮質異形成や結節性硬化症の皮質結節部など細胞成分に異型が認められる疾患では神経細胞が腫大することがある。 加齢に伴う単純萎縮が知られる。またあ急激な虚血では細胞質全体が好酸性(HE染色で赤色)となり萎縮し、虚血性変化あるいは低酸素性変化という。変性萎縮した神経細胞に石灰や鉄が沈着しミネラリゼーションという変化を起こすことがある。 リポフスチンは神経細胞内に蓄積される消耗性色素で加齢、変性などで増加する。 加齢現象に随伴する構造物で海馬の錘体細胞層に好発する。別名は好酸性棍棒状構造物。神経細胞内、神経突起内、その周辺などで認められる。生理的加齢のみならずアルツハイマー病でも多数認められる。 高齢者やアルツハイマー病などの海馬錐体細胞層の神経細胞体に好塩基性顆粒状構造物を含んだ小空胞が認められることがある。 神経細胞内にリン酸化タウ蛋白の不溶性の蓄積が起こり、異常線維形成として蓄積したものである。古いものは好酸性を帯びてくる。強い嗜銀性があり、GB染色で黒色に明瞭に染色される。加齢や痴呆性疾患だけではなく、亜急性硬化性全脳炎、ニーマン・ピック病C型、頭部外傷、二次性タウオパチーでも出現する。 ピック病の海馬などの神経細胞内に形成される嗜銀性の円形構造物である。HE染色では好酸性で膨化した球状物として認識される。尖性樹状突起側に存在することがおおい。ピク病の診断的な意義をもつ神経細胞内の球状構造物である。ピック球ほど明瞭ではないものの、膨化したような球状物で細胞質が大きく腫大した神経細胞をピック細胞という。海馬歯状回、海馬支脚などが好発部位でありリン酸化タウを含んでいる。 グルコースポリマーで形成される小体をポリグルコサン小体という。その中にはラフォラ小体、ミオクローヌス小体、ビルショウスキー小体などが含まれ、神経細胞体、神経突起、グリア細胞内に蓄積する。ラフォラ小体はラフォラ病 特発性パーキンソン病や加齢老人の黒質、青班核、迷走神経背側核などの脳幹の諸神経核の神経細胞室内に見られる好酸性(HE染色で赤)の小体である。典型的なものは脳幹型レヴィ小体と言われるもので中心部に強い芯があり、その周辺部に染色性の薄い帯状の空間を伴う。メラニン顆粒に埋もれていることもある。皮質型レヴィ小体は膨化した淡い球状物である。レヴィ小体はユビキチン化されており、抗ユビキチン抗体で明瞭に検出することができる。また構成蛋白であるαシヌクレインでに対する抗体でも検出ができる。αシヌクレイノパチー以外でも認められるため、神経変性に随伴する構造物である可能性もある。 若年性筋萎縮性側索硬化症の前角細胞、黒質、大脳基底核に好塩基性の大きな封入体が報告されている。 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の脊髄、脳幹運動神経細胞内に出現する異常構造物であり、ALSに特異的である。好酸性の小円形構造が神経細胞内の数個数珠状に連なっている。抗シスタチンC抗体で明瞭に染色される。 孤発性および家族性のALSの下位運動ニューロン内に好酸性の糸状、管状構造の集合体で糸を巻きとった綛 ALSの脊髄前角細胞にスケイン様封入体よりも線維成分が密に集合したような好酸性の球状物が観察できることがある。 ALSの脊髄前角、脳幹の運動神経細胞に時に認められるレヴィ小体に類似する円形で淡い硝子様封入体をレヴィ小体様硝子様封入体という。高度にユビキチン化しており抗ユビキチン抗体で陽性を示す。 痴呆症状を伴うALSでは海馬歯状回顆粒細胞、側頭葉皮質の神経細胞にユビキチン陽性の神経細胞内の封入体が出現する。HE染色、嗜銀染色などルーチンの染色では検出困難であり抗ユビキチン抗体で陽性を示す。 グリア細胞内封入体
中枢神経病理
中枢神経の細胞
神経細胞
神経細胞の病理変化
神経細胞脱落
神経細胞体の形態変化
中心性虎斑融解
風船状腫脹とアクロマジア
代謝疾患による異常代謝産物蓄積によつ腫大性変化
変性疾患による異常細胞骨格成分の蓄積による腫大性変化
形成異常による細胞成分の異常
神経細胞の萎縮性変化
神経細胞質内の生理的、病的構造物
リポフスチン
平野小体
顆粒空胞変性
アルツハイマー型神経原線維変化
ピック球
ポリグルコサミン小体
レヴィ小体
神経細胞内好酸性顆粒
好塩基性封入体
ブニナ小体
スケイン様封入体
球状硝子様封入体
レヴィ小体様硝子様封入体
痴呆症状を伴うALSに出現する歯状回神経細胞内ユビキチン化封入体
多系統萎縮症に出現する歯状回神経細胞内ユビキチン化封入体